はじめに

残業代を計算する際、「15分単位で切り捨てていいの?」「1円未満の端数はどう処理すべき?」といったお悩みを抱える労務担当者様や経営者様は少なくありません。

本記事では、「時間」と「金額」で異なる運用の基本ルールと、従業員とのトラブルを防ぐための就業規則への記載ポイントを解説します。

端数処理の基本ルールは「時間」と「金額」の2種類

残業代計算における端数処理には、大きく分けて「時間の端数」と「金額の端数」の2つのルールがあります。

  • 時間の端数:1ヶ月の残業時間合計に生じる「1時間未満」の端数
  • 金額の端数:1ヶ月の割増賃金の総額に生じる「1円未満」の端数

それぞれ処理方法が異なりますので、詳しく見ていきましょう。

【時間の端数】30分未満は切り捨て・30分以上は切り上げ

1ヶ月間の残業時間を合計した際、以下のような処理を行うことが認められています。

  • 30分未満 → 切り捨て
  • 30分以上 → 1時間に切り上げ

計算例

  • 月の残業合計が 20時間25分 の場合 → 20時間で計算(25分を切り捨て)
  • 月の残業合計が 20時間35分 の場合 → 21時間で計算(35分を切り上げ)

※注意点

【金額の端数】原則は「50銭未満切り捨て・50銭以上切り上げ」

1ヶ月における割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、厚生労働省の通達に基づく原則は以下の通りです。

  • 50銭未満 → 切り捨て
  • 50銭以上 → 1円に切り上げ(四捨五入のイメージ)

■ 実務でのポイント

行政の通達上は上記が原則ですが、実務においては労働者に有利となるよう「1円未満を常に切り上げる」というルールを採用している企業も多くあります。

また、最終金額だけでなく、基礎単価(時給換算)の算出時点や割増率を掛けた時点などで端数処理を行う場合も、就業規則等に明記することで運用可能です。

4. トラブルを防ぐ!就業規則・契約書への明記が必須

残業代の端数処理に関して従業員とのトラブルを未然に防ぐためには、会社としてのルールを明確にしておくことが重要です。

  • 端数処理を行うかどうか
  • どのように端数処理するか

上記の内容を、就業規則や雇用契約書(労働条件通知書)に記載しておきましょう。

「規程を見れば誰でも一目で計算ルールがわかる状態」を作っておくことが、双方の安心に繋がります。

まとめ

残業代の端数処理について、改めてポイントを整理します。

  1. 時間の端数:1ヶ月の合計で「30分未満切り捨て / 30分以上切り上げ」が可能
  2. 金額の端数:原則「50銭未満切り捨て / 50銭以上切り上げ」(1円未満切上げも可)
  3. トラブル防止:就業規則や雇用契約書へルールをしっかり明記する

自社の残業代計算ルールや就業規則の記載が正しく運用されているか、この機会にぜひチェックしてみてください。

就業規則の見直しや労務管理に関するご相談・ご依頼につきましては、当事務所までお問い合わせください。