従業員を雇用する上で欠かせない「労務管理」。その中でも、特に問い合わせやトラブルが多いテーマの一つが「休日」と「割増賃金(残業代・休日手当)」の関係です。

求人票や就業規則でよく見かける「法定休日」と「所定休日」。どちらも同じ「休み」に思えますが、労働基準法上の扱いや休日出勤時の計算方法は大きく異なります。

今回は、法定休日と所定休日の基本的な違いと、正しい運用・トラブル防止のための重要ポイントを分かりやすく解説します。

「法定休日」と「所定休日」の根本的な違い

法律上の休日には、大きく分けて以下の2種類が存在します。

法定休日 定義:労働基準法で与えることが義務付けられている最低限の休日 日数:原則として週1日(または4週を通じて4日)

所定休日(法定外休日) 定義:会社が独自に定めている休日 日数:会社の規定による(夏季休暇・年末年始・週休2日のもう1日など)

◆具体例:完全週休2日制(土・日)の場合
例えば「完全週休2日制(土日休み)」を採用している会社の場合、土曜と日曜のどちらか一方(例:日曜日)が「法定休日」、もう一方(例:土曜日)が「所定休日」となります。一見すると同じ休日に思えますが、この区別が特に重要になるのが「休日出勤が発生したとき」です。

休日出勤時の割増賃金率(手当)の違い

法定休日と所定休日では、出勤させた際に支払う法律上の割増賃金率が異なります。

法定休日に働かせた場合:割増率 35%以上

所定休日に働かせた場合:割増率 25%以上(※ただし適用条件あり)

【重要】所定休日出勤の25%割増には注意が必要

「所定休日に出勤させたら、無条件で最初から25%増しの手当が必要」と誤解されがちですが、法律上のルールは少し異なります。

法律上、25%の割増賃金が発生するのは「その週の実労働時間が合計40時間を超えた場合」です。

・例1)平日40時間勤務 + 土曜(所定休日)8時間勤務 → 週の労働時間が48時間となり、40時間を超えた8時間分について25%増しの割増賃金が発生します。

・例2)平日に有給休暇を1日取得(実労働32時間)+ 土曜(所定休日)8時間勤務 → 週の合計実労働時間が40時間ぴったりとなるため、法律上は割増なし(通常の1.0倍の時給)での支払いで問題ありません。

※注意:会社の就業規則において「所定休日出勤は、労働時間に関わらず一律25%増しとする」や「有給休暇を実労働時間としてカウントする」と規定している場合やは、会社のルールが優先されます。まずは自社の規定を確認することが大切です。

労務トラブルを防ぐ!就業規則の3つのチェックポイント

休日出勤の計算ミスや従業員との認識の食い違いを防ぐために、就業規則には以下のポイントを明記しておきましょう。

① 曜日ごとの区別を明確にする

どちらが法定休日かを指定していないと、計算時に混乱が生じます。「毎週日曜日を法定休日とし、土曜日を所定休日とする」のように、規則上で曜日を指定しておくことで、割増賃金の判断が明確になります。

② 「振替休日」と「代休」の規定を分けて整備する

休日に働いてもらう代わりに別の日に休ませる際、「振替休日」なのか「代休」なのかによって割増賃金の発生有無が変わります。
・振替休日(事前に休日と労働日を入れ替える):事前に手続きしていれば、原則として休日出勤の手当(35%増し)は発生しません。
・代休(事後に代わりの休みを与える):休日に働いた事実そのものは消えないため、休日出勤手当(35%増し)の支払いが必要です。

両者を曖昧にせず、就業規則で申請手続きや取扱いを明確にしておきましょう。

③ 三六協定(36協定)の締結・届出

法定休日に従業員を働かせるには、労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)の締結と労働基準監督署への届出が必須です。届出なしで法定休日出勤をさせると法律違反(労働基準法違反)となりますので注意してください。

正しい労務管理で安心の職場づくりを

法定休日と所定休日の違いを整理すると、以下の通りです。

  1. 法定休日は法律で義務付けられた休日(週1日)、所定休日は会社が独自に設ける休日
  2. 法定休日出勤は35%増し、所定休日出勤は週40時間を超えた部分が25%増し
  3. トラブル防止のため、就業規則で「曜日の特定」や「振替・代休の扱い」を明記する

割増賃金の誤計算は、未払い残業代リスクや従業員からの信頼低下につながります。自社の就業規則や給与計算フローが正しく運用されているか、今一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

労務管理・就業規則の作成・見直しのご相談はお任せください

「自社の就業規則の休日規定が適切か不安」「割増賃金の計算方法を見直したい」など、労務管理に関するご相談・ご依頼がございましたら、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせください。